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No.122新着 保護費の返還(第63条)と不正受給の徴収(第78条):2018年改正で返還金も保護費から差し引けるようにし、2018年10月以降の分は破産しても免責されない扱いに

資力があるのに受けた保護費は第63条で返還、不正受給は第78条で徴収(40%まで上乗せ)。2018年10月施行の改正で、返還金も本人の申し出で保護費から差し引け、税と同じく取り立てられて破産でも免責されない扱いになった。

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資料の日付
2018年6月8日
分野
日本の制度
立場
賛否のある論点
タグ
不正受給制度改正
地域
日本
資料の種類
公的資料
テーマ
保護費の返還・徴収

本文と出典

【要点】 ・生活保護法第63条は、急な場合などで資力があるのに保護を受けた人に、受けた保護費の範囲内で福祉事務所(保護の実施機関)が決めた額を返すよう定める。熊本県のマニュアルは、すぐに使えない資力があるため先に保護をし、後でその費用を返してもらう仕組みで、返還額を決めるときは世帯の自立のために必要な額を差し引けると説明している。 ・第78条は、うその申請など不正な手段で保護を受けた人から費用を徴収し、さらに徴収額の40%以下を上乗せできると定める(上乗せは2013年改正・2014年7月施行)。 ・2018年6月8日公布の改正法(2018年10月1日施行)で第77条の2ができ、第63条の返還額を「徴収金」として国税徴収の例により取り立てられるようにした。本人が申し出て、生活に支障がないと福祉事務所が認めれば、保護費を渡すときに差し引いて納めることもできる(第78条の2)。 ・熊本県の未収金対策マニュアルは、税と同じ方法で取り立てられる債権(強制徴収公債権)は破産法第253条第1項により破産しても免責されないと説明している。2018年10月1日以後に支払った保護費の返還金と、2014年7月1日以後の不正受給の徴収金がこれに当たるとしている。 【数字・中身】 条文と省令(2026年10月確認) ・第63条(費用返還義務):資力があるのに保護を受けたとき、受けた保護費に相当する額の範囲内で、実施機関が定める額を返還する。 ・第77条の2:第63条の場合に、実施機関が定める額の全部または一部を徴収できる。国税徴収の例により徴収できる(第2項)。ただし省令(施行規則第22条の3)で、実施機関の責任で払うべきでない保護費を払ったために資力が生じたときは、この徴収をしない。 ・第78条:不正受給は費用の全部または一部を徴収し、徴収額に40%をかけた額以下を上乗せできる。指定医療機関や指定介護機関の不正請求にも同じ規定がある。 ・第78条の2:本人が保護費(現金で渡す分)を受け取る前に、その一部を第77条の2・第78条の徴収金にあてると申し出て、実施機関が生活の維持に支障がないと認めたとき、保護費を渡す際に徴収できる。省令(第22条の4)は、徴収後も最低限度の生活を維持できる範囲で額を決めるよう定める。 債権の区分(熊本県「生活保護費未収金対策マニュアル」2020年10月改訂) ・第63条の返還金:2018年9月30日までに支払った保護費の分と、実施機関の責任による過払いは、税の方法では取り立てられない債権(非強制徴収公債権)。2018年10月1日以後に支払った保護費の分は第77条の2の徴収金として強制徴収公債権 ・第78条の徴収金:2014年7月1日以後に支払った保護費の分は強制徴収公債権 ・強制徴収公債権は、裁判所の手続きを経ずに預金の照会や差し押さえなどができ、破産法第253条第1項(租税等の請求権)により非免責。非強制徴収公債権は破産の免責を受けると、債権を放棄するには議会の議決がいる 件数の例 ・不正受給(第78条)は2015年度に4万3,938件・約169億9,408万円(生活保護法施行事務監査の結果の集計・厚生労働省の2017年の資料)。最近の件数は別の記事(2018年度3万7,287件)を参照 ・第63条の返還の件数・金額の全国の公表値は確かめられなかった 【背景】 ・内閣府の地方分権改革の提案で、自治体は第63条の返還請求権と第78条の徴収権を破産法で非免責債権と明記することや(2015年の対応方針)、第63条の返還金も第78条の2のように本人の申し出で保護費と調整できるようにすること(2016年の対応方針)を求めていた。政府はこれらを、2013年改正法の附則にもとづく5年後の制度見直しの中で検討するとした(厚生労働省「生活保護制度に関する国と地方の実務者協議」資料・2017年6月16日)。 ・厚生労働省は同資料で、2013年改正による保護費との調整(第78条の2)は、不正受給の徴収金を確実に徴収するための仕組みだと説明している。 ・大阪府は支援団体への文書回答で、保護費からの徴収は本人の任意の申し出によるもので、強要するものではないとしている。 【論点】 ・自治体の事務負担を減らし確実に回収するため必要とする立場(自治体・厚生労働省):全国の自治体が、破産で返還金が免責されることや、保護費との調整ができないことを課題として国に見直しを求め、政府が検討を約束した(厚生労働省の2017年6月の資料)。不正受給の徴収の上乗せや保護費との調整は、適正な保護と制度への国民の信頼のために厳正な対応が必要だとして2013年改正で入った(同資料)。 ・最低限度の生活を下回るおそれがあるとする立場(弁護士・支援団体):2018年5月6日付のしんぶん赤旗(日本共産党の機関紙)によると、生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士は、返還額の免除の余地がないまま天引きされれば最低限度を下回る暮らしを強いられ、権利を二重に侵害すると指摘して該当部分の削除を求めた。全国生活と健康を守る会連合会の会長も、返還額は利用者と話し合って決めるべきだと述べた。同法案は参議院で2018年6月1日に可決・成立した(衆議院は全会一致、参議院は賛成多数)。 ・第63条の返還は、もともと実施機関が事情を見て返還額を決める(一部の免除もありうる)仕組みで、第78条の不正受給とは性格が違う。熊本県のマニュアルも、第78条は相手の資力にかかわらず全額を徴収し、第63条のような裁量の余地はないと区別している。 【注意】 ・第63条の返還は不正受給とは別のもの。熊本県のマニュアルは、受給者がきちんと収入を申告していたのに福祉事務所が保護費の計算に反映できなかった場合などを「実施機関の責め」による例に挙げ、その分は保護費からの徴収の対象外としている。 ・「破産しても免責されない」は、税と同じ方法で取り立てられる債権の扱いで、熊本県のマニュアルの説明による。個別の事案の扱いは、保護費を支払った時期・過払いの原因・破産手続きでの債権者名簿の記載などで変わる。広島県行政不服審査会の答申(2026年2月17日)では、審査請求人と市の双方が、2018年10月1日以後の保護費にかかる徴収金は破産法第253条第1項第1号により免責されないと主張している。 ・保護費からの差し引きは本人の申し出が前提で、実施機関の判断だけで差し引く仕組みではない(第78条の2)。 ・しんぶん赤旗は政党の機関紙で、引用した意見は記事に載った発言。 【出典】 ・生活保護法 第63条・第77条の2・第78条・第78条の2(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 ・生活保護法施行規則 第22条の3・第22条の4(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50000100021 ・破産法 第253条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075 ・生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(閣法第20号・審議経過)(参議院・2018年)https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/meisai/m196080196020.htm ・生活保護費未収金対策マニュアル(熊本県健康福祉部・2020年10月23日改訂)https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/212406.pdf ・第5回 生活保護制度に関する国と地方の実務者協議 厚生労働省説明資料(厚生労働省・2017年6月16日)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000186313.pdf ・全大阪生活と健康を守る会連合会 文書回答2回目(2)(大阪府福祉部・2024年6月4日更新)https://www.pref.osaka.lg.jp/o070050/koho/05-dantaial/231110_bunsyo2.html ・広島県行政不服審査会 令和7年度答申第9号(広島県・2026年2月17日答申)https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soumu/kenpo-pdf/2026/t019/2026-t019-004.pdf ・“過払い”天引きは権利侵害(しんぶん赤旗・2018年5月6日)https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-06/2018050601_04_1.html

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