No.121新着 葬祭扶助の件数と基準額:2024年度は延べ5万6,447人で2019年度より約1万人増、基準額は大人22万2,000円以内(1・2級地・2026年)
葬祭扶助を受けた人は2024年度に延べ5万6,447人で、2019年度の4万5,789人から増えた。基準額は2026年4月から1・2級地の大人22万2,000円以内。引き取り手のない人の葬祭に使われる例も多い。
本文と出典
【要点】
・葬祭扶助は、火葬や埋葬、遺体の運搬、死亡の検案など、葬祭に最低限いる費用を出す扶助(生活保護法第18条)。
・受給者本人の葬祭のほか、亡くなった受給者に葬祭をする扶養義務者がいないときや、受給者でない人でも身寄りがなく遺した金品で費用が足りないときに、大家や知人など葬祭を行う人に支給できる(同条第2項)。
・葬祭扶助の人数は2024年度に延べ5万6,447人。月平均では2012年度の3,169人から2024年度の4,704人へ増えた。
・基準額は2026年4月施行の改正で、1・2級地の大人22万2,000円以内(改正前21万9,000円)、12歳未満の小人17万7,600円以内(同17万5,200円)。
【数字・中身】
葬祭扶助の人数(被保護者調査・各年度の確定値)
・2019年度:延べ4万5,789人(月平均3,816人)
・2021年度:延べ4万8,789人(月平均4,066人)
・2022年度:延べ5万2,664人(月平均4,389人)
・2023年度:延べ5万2,461人(月平均4,372人)
・2024年度:延べ5万6,447人(月平均4,704人、扶助世帯は延べ5万6,395世帯)
・2012年度は月平均3,169人
基準額(2026年4月施行の告示の改正案・未定稿。札幌市の2026年7月の基準表でも同じ額)
・1級地・2級地:大人22万2,000円以内、小人(12歳未満)17万7,600円以内
・3級地:大人19万4,300円以内、小人15万5,400円以内
・費用が基準額を超え、火葬料が一定額(1・2級地の大人で600円)を超える場合は、その超えた分を足せる
・遺体の運搬費が1・2級地で1万9,220円(3級地1万6,820円)を超えるときは、一定の範囲で足せる
・亡くなった受給者に葬祭をする扶養義務者がいない場合(第18条第2項第1号)は、さらに1,000円を足してよい
・死亡診断や検案の費用が5,350円を超える場合は、その分を足せる
引き取り手のない死亡人(総務省の調査・2023年3月の勧告)
・2018年4月1日〜2021年10月末日の3年7か月に、回答した市区町村で引き取り手のない死亡人は10万5,773件。このうち生活保護法で扱ったものが9万2,767件(回答691市区町村)で、遺留金なしが5万455件、ありが4万483件
・行旅病人及行旅死亡人取扱法(身元不明の人など)は2,852件、墓地埋葬法は1万154件
【背景】
・日本総合研究所が厚生労働省の補助事業でまとめた報告書(2025年3月)は、葬祭扶助を(A)受給世帯が葬祭を行う場合(第18条第1項)、(B)亡くなった受給者に葬祭を行う扶養義務者がいない場合(第2項第1号)、(C)受給者でない人で身寄りがなく遺した金品で費用が足りない場合(第2項第2号)の3つに分けている。国への報告は3つの合計で、政令市・特別区の8割近くは内訳を分けずにつかんでいた。
・同報告書の調査では、内訳をつかんでいる自治体のうち約3割で、引き取り手のいない第2項の事案が8割以上を占め、特に政令市・特別区で多かった。
・同報告書の自治体ヒアリングでは、ある一般市が「近年、身寄りのない一人暮らしの高齢者が亡くなることが多く」、今年度から高齢者の担当課が墓地埋葬法で対応する形に改めたと答えている。
・総務省は2023年3月、超高齢社会と家族のつながりの希薄化で引き取り手のない死亡人の増加が見込まれ、葬祭を行う自治体の事務や費用の負担が増えているとして、遺留金の扱いの改善を厚生労働省と法務省に勧告した。生活保護法の葬祭扶助は、遺した金品で足りない分を支給し、その3/4を国が負担する。
・受給世帯のうち高齢者世帯の9割以上が1人暮らしという統計は別の記事を参照。ただし、単身高齢者の増加と葬祭扶助の件数の関係を数字で示した公的な分析は確かめられなかった。
【注意】
・被保護者調査の葬祭扶助の人数は、各月の扶助人員を1年分足した延べの数(2012年度は月平均の数だけを確かめた)。
・総務省の調査は回答した市区町村の分だけを集計したもので、全国の総数ではない。回答した自治体の数は法律や時点で違う。
・報道では、厚生労働省の調査で2023年度の引き取り手のない遺体が全国で推計約4万2,000とされているが、このサイトが開いた日本総合研究所の報告書の本文では、この推計値の記述を確かめられなかった。
・基準額は「以内」の上限で、実際の支給は葬祭にかかった額による。級地は葬祭を行う場所の級地による。
・2026年4月施行分の告示・実施要領は厚生労働省が「未定稿」として公開しているもの。
【出典】
・被保護者調査 令和6年度 月次調査 確定値 第12表「扶助世帯数及び扶助人員数,月・1か月平均×保護の種類(重複計上)別」(厚生労働省・e-Stat・2026年3月4日)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040417780&fileKind=0
・被保護者調査 2019年度 月次調査 第12表(厚生労働省・e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000032062378&fileKind=0
・被保護者調査 平成24年度 月次調査 第12表(厚生労働省・e-Stat・2014年6月13日)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000025414860&fileKind=0
・被保護者調査(令和3〜5年度)の各年度の統計表一覧(厚生労働省・e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450312
・2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等(未定稿)「別表第8 葬祭扶助基準」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/001677054.pdf
・生活保護法による保護の基準表(令和8年7月〜)(札幌市)https://www.city.sapporo.jp/fukushi-guide/documents/seikatsuhogo-r8-7-kijunn_1.pdf
・生活保護法 第18条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144
・「遺留金等に関する実態調査」の結果に基づく勧告(概要)(総務省・2023年3月28日)https://www.soumu.go.jp/main_content/000870873.pdf
・遺留金等に関する実態調査<結果に基づく勧告>(総務省・2023年3月28日)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_230328000164386.html
・行旅病人及行旅死亡人取扱法、墓地、埋葬等に関する法律及び生活保護法に基づく火葬等関連事務を行った場合等の遺骨・遺体の取扱いに関する調査研究事業 報告書(株式会社日本総合研究所・2025年3月、第9回地域共生社会の在り方検討会議 参考資料)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001463077.pdf
【動画】
・引き取り手のない遺体 全国で推計4万人あまりに 一人暮らしの高齢者増加や親族関係の希薄化で 厚労省|TBS NEWS DIG(TBS NEWS DIG Powered by JNN)https://www.youtube.com/watch?v=VvvcYfdy0sI
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