No.8新着 働いた収入の扱い(勤労控除)と全額控除額15,000円をめぐる国会質疑(2026年7月)
受給中に働くと、収入の一部が手元に残る「勤労控除」がある。月15,000円までは全額控除で、超えた分は控除率10%。2013年8月から据え置きで、2026年7月の国会で見直しが問われた。
本文と出典
【要点】
・生活保護では働いた収入は収入として認定されるが、一部を差し引いて手元に残す「勤労控除」がある。
・基礎控除は、就労収入月15,000円までは全額控除、それを超えると控除率10%(2021年の厚労省資料)。
・全額控除額は2013年8月に8,000円から15,000円に引き上げられ、それ以来据え置かれている(2026年7月10日の政府答弁書)。
・2026年6〜7月、衆議院議員が物価・賃金の上昇を踏まえた見直しを質問し、政府は「慎重な検討が必要」と答えた。
【数字・中身】
勤労控除の種類(第38回生活保護基準部会 参考資料・令和3年4月時点):
・基礎控除:就労収入額に応じて設定(全額控除額15,000円、超えた分の控除率10%)。働くことに伴う経費を補い、就労意欲を高めるため収入の一部を手元に残す
・新規就労控除:新たに継続性のある仕事についた人に1万1,700円
・未成年者控除:働いている未成年者に1万1,600円
2013年8月の見直し(第26回生活保護基準部会 資料・2016年10月28日):
・全額控除額を8,000円から15,000円に引き上げ、控除率を一律10%に改めた
・年間の就労収入の1割を上限とする「特別控除」は廃止した
・2014年7月の法改正で、保護から抜けた直後の税・社会保険料などの負担に備える「就労自立給付金」をつくった
【背景】
・政府答弁書(2026年7月10日)は、15,000円の根拠として、2013年1月の社会保障審議会特別部会報告書が「全額控除となる水準や控除率を見直す必要がある」としたことを受け、就労継続支援B型事業所の平均工賃の額なども参考に増額したと説明している。
【論点】
・見直しを求める立場(山本ジョージ衆議院議員・2026年6月30日の質問主意書):全額控除額は2013年8月から15,000円に据え置かれており、その間の物価上昇率・賃金上昇率や所得税の基礎控除の引き上げを踏まえた見直しの必要性を問うた。
・慎重な立場(政府答弁書・2026年7月10日、7月24日):見直しには、生活保護を受けずに働いている低所得者との公平性の観点などからの検討も必要。物価・賃金の上昇などだけを踏まえた見直しには慎重な検討が必要。具体的な検討は行っていないため、時期は示せないとした。2012年10月の生活保護基準部会でも、控除を増やすと一般の低所得世帯とのバランスが問題になるとの委員の発言があったと紹介している。
【注意】
・新規就労控除・未成年者控除の額は2021年4月時点の資料による。2026年時点の額は今回確かめていない。
・勤労控除のほか、通勤費・社会保険料などの実費も収入から差し引かれる。
【出典】
・生活保護制度の概要等について(第38回社会保障審議会生活保護基準部会 参考資料・2021年4月27日)https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000771098.pdf
・就労・自立インセンティブの強化を踏まえた勤労控除等の見直し効果の検証(第26回社会保障審議会生活保護基準部会 資料1・2016年10月28日)https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/001372786.pdf
・生活保護制度における勤労控除の基礎控除の全額控除額に関する質問主意書(衆議院・2026年6月30日提出)https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a221024.htm
・同 答弁書(内閣衆質221第24号・2026年7月10日)https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b221024.htm
・同 再質問に対する答弁書(内閣衆質221第35号・2026年7月24日)https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b221035.htm
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