No.6新着 資産の扱い:預貯金・持ち家・自動車(2025年の厚労省研修教材ほか)
預貯金は保護開始時に最低生活費の5割までは手元に残せる。住んでいる家は処分価値が著しく大きくなければ持てる。自動車は原則処分で、障害者の通院など限られた場合だけ保有が認められる。
本文と出典
【要点】
・生活保護法第4条は、利用できる資産を生活に活用することを保護の要件としている。
・厚生労働省の研修教材(2025年)によると、土地・家屋は原則売却だが、住んでいる家は処分価値が著しく大きくなければ保有を認める。
・自動車は原則売却で、障害者や公共交通の利用が著しく難しい地域の人などが通勤・通院・通所・通学に必要な場合に保有を認める。
・日本弁護士連合会(日弁連)は2024年9月19日、自動車の保有と利用の制限をゆるめるよう厚生労働省に求める意見書を出した。
【数字・中身】
厚生労働省 研修教材「生活保護の基本的な実務」(2025年)による扱い:
・預貯金:原則は収入として扱う。ただし保護開始時の手持ち金は、最低生活費(医療扶助・介護扶助を除く)の5割までは収入とみなさない
・土地・家屋:原則売却。現に住んでいるものは、処分価値が著しく大きいものを除き保有を認める
・自動車:原則売却。障害者や公共交通の利用が著しく難しい地域の人などが、通勤・通院・通所・通学に必要な場合は保有を認める
・売却に時間がかかる不動産などは、保護を始めたあと売却して保護費を返す(法第63条)
厚生労働省の案内(「生活保護を申請したい方へ」・Q&A):
・持ち家があっても申請できる
・住宅ローンがあっても受給できないわけではないが、保護費からローンを返すことは原則認めない
・通勤用の車を持ったまま求職している場合や、自営業に必要な店舗・器具は、処分せずに保護を受けられる場合がある
【背景】
・研修教材は、手持ち金を最低生活費の5割まで認める理由を、いわゆる家計の繰越金程度のものへの配慮と説明している。
・日弁連の意見書によると、日弁連が福祉事務所を置く全国の自治体に行った調査(2022年3月31日時点・回答率64.8%)で、生活保護利用世帯の自動車保有率は全世帯に比べて極めて低かった。
【論点】
・原則処分を維持する立場(厚生労働省):自動車は資産なので原則として処分し、生活の維持に活用してもらう。障害のある人の通勤・通院など必要な場合には保有が認められることがある(厚生労働省 Q&A・2026年10月1日更新)。
・制限をゆるめるよう求める立場(日本弁護士連合会・2024年9月19日の意見書):処分価値が小さい生活用品としての自動車(例:その世帯の最低生活費の6か月分まで)は、ローン返済中も含め、地域の普及率が70%程度あれば原則として保有を認めること、保有を認めた車の利用を目的に限るとした2022年5月10日の厚生労働省事務連絡を撤回すること、維持費を一時扶助として出す制度をつくることを求めている。
【注意】
・「処分価値が著しく大きい」の具体的な線引きは、保護の実施要領(課長通知)などで決められている。個々の判断は福祉事務所が行う。
・2022年5月10日の事務連絡の内容は、日弁連意見書の記述による(事務連絡そのものは今回確かめていない)。
【出典】
・生活保護ケースワーカー向け研修教材 No.2-1「生活保護の基本的な実務」(厚生労働省・2025年掲載)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001482897.pdf
・生活保護制度に関するQ&A(厚生労働省・2026年10月1日更新)https://www.mhlw.go.jp/content/001106332.pdf
・生活保護を申請したい方へ(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsuhogopage.html
・生活保護における自動車保有・利用の制限緩和等を求める意見書(日本弁護士連合会・2024年9月19日)https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2024/240919_2.pdf
【動画】
・車利用で生活保護停止は違法として処分の取り消しを求める(khb東日本放送)https://www.youtube.com/watch?v=gDnYjmkyiGM
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