No.63新着 最低所得の給付を「受けられるのに受けていない」人の割合(EU・2025年報告):チェコ20%〜スペイン44%
欧州委員会とEU社会保護委員会の「2025年 最低所得報告」によると、最低所得の給付を受けられるのに受けていない人の割合(non-take-up)は、チェコ20%、オーストリア30%、フランス33%、オランダ37%、ギリシャ38.5%、スペイン44%、ベルギー37〜51%と推計されている。
本文と出典
【要点】
・EUは2023年の理事会勧告で、加盟国に最低所得の給付の「取りこぼし(non-take-up)」を定期的に調べるよう求めた。2025年12月5日に欧州委員会が公表した「2025年 最低所得報告」がその実施状況をまとめている。
・報告は、受けていない人の割合を、チェコ20%、オーストリア30%、フランス33%、オランダ37%、ギリシャ38.5%、スペイン44%、ベルギー37〜51%としている。毎年推計しているのはスペインなど少数にとどまる。
・報告の結論部分は、EUの取りこぼしは「一部の加盟国でおよそ20〜50%」とし、すべての加盟国で優先課題だとしている。
【数字・中身】
報告本文に挙げられた推計(年は国により違う):
・チェコ20%、オーストリア30%、フランス33%、オランダ37%、ギリシャ38.5%、スペイン44%、ベルギー37〜51%、リトアニア27〜49%(2022年の研究)
・オーストリアは、2009年の51%から2015年の30%に下がった(2019/2020年の研究)
・フランスは、四半期ごとに見ると対象世帯の3分の1、長い期間で見ると5分の1が受けていない
報告の表(文献のまとめ)から:
・ドイツ(求職者の基礎保障など)2005〜2014年の研究で33.8〜43%ほか、フィンランド(生計援助)2017年33%、イタリア(市民所得)2019年53%・2021年38.5%、スペイン(最低生活所得)2022年58%(EAPNスペインの推計)
困っている人に給付が届いているかの別の物差し:
・貧困で、ほとんど働いていない世帯の18〜64歳のうち、何らかの現金給付(老齢給付を除く)を受けている人は、EU平均83.2%(2023年)。低いのはキプロス60%、ポルトガル62.5%、高いのはアイルランド100%、フランス97.5%
【背景】
・報告は、受けない理由として、本人の側では給付を知らない・条件が分からない・申請書の記入が難しいこと、行政の側では情報が届かないことや、不正防止のための障壁、申請者への偏見(スティグマ)などを挙げている。申請の簡素化・情報提供・出向いての働きかけを進める国もあるが少数だとしている。
・推計には、資産などの条件をどこまで再現できるかの限界があり、方法によって幅が出る。
【注意】
・国ごとに推計の年・方法・対象の制度が違い、同じ物差しでそろえた比較ではない。報告自身も「より高い推計もある」としている。
・「受けていない人の割合」は、受けられる人のうち受けていない人の割合で、日本でいう「捕捉率」(受けている人の割合)と裏表の関係にある。
【原文】
・The 2025 Minimum Income Report(European Commission, DG EMPL・2025-12-05)https://employment-social-affairs.ec.europa.eu/2025-minimum-income-report_en
・The 2025 Minimum Income Report(Council of the European Union, 14905/25 ADD 1・2025-11-12)https://data.consilium.europa.eu/doc/document/ST-14905-2025-ADD-1/en/pdf
【出典】
・The 2025 Minimum Income Report(欧州委員会・2025-12-05)https://employment-social-affairs.ec.europa.eu/2025-minimum-income-report_en
・The 2025 Minimum Income Report(EU理事会 文書14905/25 ADD 1・2025-11-12)https://data.consilium.europa.eu/doc/document/ST-14905-2025-ADD-1/en/pdf
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