No.57新着 給付付き税額控除の議論(社会保障国民会議・2026年7月中間とりまとめ):2029年度に「所得に連動したきめ細かな給付」
政府と与野党の社会保障国民会議は2026年7月29日、中低所得の現役勤労者の負担を軽くする「所得に連動したきめ細かな給付」を2029年度に導入するとの中間とりまとめを決めた。給付と税額控除の組み合わせか給付のみかで意見が分かれている。
本文と出典
【要点】
・2026年2月26日に発足した「社会保障国民会議」は、7月29日に給付付き税額控除についての中間とりまとめを決めた(内閣官房)。
・目的は、①中低所得の現役勤労者の税・社会保険料の負担を軽くし、手取りを増やすこと、②いわゆる「年収の壁」による働き控えをゆるめ、就労を促すこと。
・制度の環境を整えたうえで2029年度(令和11年度)に導入し、そのための法制上の措置をできるだけ早く講じるとしている。それまでの2年間のつなぎとして、2027年4月から飲食料品の消費税率を1%にし、2027年度に所得に連動した給付を先行導入する案が示された。
【数字・中身】
2029年度に導入する制度の基本的な設計(中間とりまとめ):
・個人単位とし、単身者も対象
・一定の勤労性の所得(事業所得・給与所得・業務に係る雑所得)があり、一定の税・社会保険料の負担がある人が対象。純負担が現役並みの中低所得の高齢者も対象
・給付額は所得に応じ、勤労所得が一定水準になるまで増え、その後は定額、総所得が一定額を超えると減って消える
・18歳以下の子どもの人数に応じた加算。高所得の配偶者がいる場合は一定の例外
・対象となる給与収入の線について、有識者会議では約106万円超・74万円超、実務者会議では雇用保険の適用水準(約53万円超)の意見があった
・公金受取口座(登録率は現状5割程度)の利用を原則とする
つなぎの措置(実務者会議の中間とりまとめ案・2026年6月26日):
・2027年4月1日から2年間、軽減税率の対象の飲食料品の消費税率を1%にする
・2027年度に、消費税1%相当分の範囲内で、公的機関が持つ所得情報を使った「所得に連動したきめ細かな給付」を先行導入(15歳以下の子どもの数に応じた加算など経過的な措置)
【論点】
中間とりまとめに記された意見の違い:
・最終形は給付と税額控除の組み合わせが望ましいとする強い意見がある一方、制度の複雑化を避けるため短期的には給付とすることが望ましいとの有識者会議の検討がある。来年度をめどに「社会保険料還付付き税額控除」を目指すべきとの意見もあり、実務者会議の意見には「相当に開き」があるとしている。
・子育て世帯への配慮には、制度の複雑化への懸念から慎重な意見があった。
・金融所得・預金利子・資産の保有状況を勘案する仕組みを当初から導入すべきとの意見があった。
・つなぎの消費税率引き下げについては、消費税ではなく給付で対応すべきとの意見、財源を確保して飲食料品の消費税を恒久的に減税すべきとの意見、早期に引き下げるべきとの意見があった。課題として、高所得者ほど恩恵が大きいこと、税込価格が下がらない可能性、2年後の再引き上げへの懸念などが挙げられた。
【背景】
・中間とりまとめは、働いていても収入が低い人や、病気・障害で働けない人など給付の対象外で支援が必要な人について、生活困窮者自立支援制度や障害者福祉などとの関係を整理し、給付と相談・就労支援の一体的な実施を含めて検討するとしている。
【注意】
・給付額や対象となる所得の線は決まっておらず、恒久財源の確保とあわせて検討するとされている。
・生活保護との関係(受給者が対象になるか、収入として扱うか)は、この資料では示されていない。
【出典】
・社会保障国民会議 中間とりまとめ(内閣官房・2026年7月29日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260729-4/01_siryou1.pdf
・社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第20回)資料2 中間とりまとめ(案)「制度の経過措置(つなぎ)」部分抜粋(内閣官房・2026年7月22日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260722/02_siryou2.pdf
・社会保障国民会議(内閣官房)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/index.html
【動画】
・【社会保障国民会議】 「給付に一本化」「給付額は収入で変動」 給付付き税額控除イメージ案明らかに(日テレNEWS)https://www.youtube.com/watch?v=-qpUVcwXJHw
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