No.39新着 最低賃金と生活保護の「逆転」と解消:2014年度に乖離が残った5道府県、2025年度は全都道府県で最低賃金が上
最低賃金法は、最低賃金を生活保護と整合させるよう定める。2014年の審議会報告では北海道など5道府県で乖離が残ったが、2026年7月の資料では2025年度の最低賃金が全都道府県で生活保護水準を時給325〜420円上回った。
本文と出典
【要点】
・最低賃金法第9条3項は、地域別最低賃金を決めるときに、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営めるよう「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と定めている。
・最低賃金で働いた手取りが生活保護(生活扶助+住宅扶助)を下回る「逆転(乖離)」があり、中央最低賃金審議会は乖離の解消を目安の議論で扱ってきた。
・2014年7月29日の目安小委員会報告では、北海道(11円)・宮城・東京・兵庫(各1円)・広島(4円)に乖離が残っていた。2026年7月10日の資料では、2025年度の最低賃金を反映すると、全都道府県で最低賃金が生活保護水準を上回っている。
【数字・中身】
比べ方(中央最低賃金審議会 目安に関する小委員会の資料):
・生活保護:生活扶助基準(1類費+2類費+期末一時扶助費・18〜19歳単身・冬季加算を含む・人口加重平均)+住宅扶助の実績値
・最低賃金:最低賃金額×173.8時間×0.824(税・社会保険料を引いた手取りの比率)
2014年度(2014年7月29日 報告・2012年度データに基づく乖離から2013年度の引上げ額を差し引いた残り):
・北海道11円、宮城1円、東京1円、兵庫1円、広島4円
2025年度(2026年7月10日 資料No.3・時間額。△は最低賃金が上回る額):
・最新の乖離額は全都道府県でマイナス。例:宮城△325円、北海道△330円、東京△365円、大阪△395円、愛知△411円、徳島△420円
【論点】
・乖離の解消を急ぐべきとする立場(労働者側委員・2014年7月29日の報告):生活保護との乖離解消は単年度で行うことなどを求め、「生活できる賃金」「ナショナルミニマムとしての水準」の議論を深めるべきとした。
・引き上げの影響に配慮すべきとする立場(使用者側委員・同):過去5年、生活保護との乖離解消などを最優先する審議で大幅な引き上げが続き、企業経営への影響が高まっていると主張した。乖離解消はこれまでのルールに沿って着実に取り組むべきとした。
【注意】
・比較は18〜19歳の単身世帯を前提にしており、ほかの世帯の生活保護水準と最低賃金の関係を示すものではない。
・生活保護には医療扶助などもあるが、比較は生活扶助と住宅扶助だけで行っている。
【出典】
・最低賃金法 第9条(e-Gov 法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137
・中央最低賃金審議会 目安に関する小委員会 資料No.3「生活保護と最低賃金」(厚生労働省・2026年7月10日)https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001720866.pdf
・中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(厚生労働省・2014年7月29日)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000052753.pdf
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