No.36新着 「水際作戦」をめぐる国の監査指摘(2026年3月)と桐生市の第三者委員会報告(2025年3月)
厚労省は2026年3月、監査で「世帯全員の同意が必要と誤信させる」「不要な書類の提出を求める」などの不適切な面接対応が見つかったとして指導を求めた。群馬県桐生市では第三者委員会が保護費の分割支給などを違法と認定した。
本文と出典
【要点】
・相談窓口で申請をさせない・あきらめさせる対応は、いわゆる「水際作戦」と呼ばれ、申請権の侵害として問題にされてきた。
・厚生労働省は2026年3月の会議資料で、国の監査で見つかった不適切な事例を挙げ、申請の意思がある人にはすぐ申請書を渡し、申請権を侵害していると疑われる行為もしないよう自治体に求めた。
・群馬県桐生市では、第三者委員会が2025年3月28日、保護費を分割して渡し一部を支給しなかったことなどを生活保護法違反と認定し、保護率の大きな減少には申請権の侵害が疑われる事情を含む複合的な要因があったとした。
【数字・中身】
国の監査で認められた不適切な事例(厚生労働省・2026年3月):
・預貯金やライフラインの状況の記載がなく、急迫状況を確認したか判断できない
・申請には同居する世帯全員の同意が必要だと誤信させるおそれ
・本来申請に必要ない書類の提出を事前に指示し、提出がなければ申請できないと誤信させるおそれ
・自動車の保有を認めないことを相談時に判断していると疑われる
・相談時の手持ち金をもとに事前に要否を判定している、特別な理由なく14日を超えて決定している、要否判定をせず「辞退届」だけで廃止している
桐生市の保護の推移(第三者委員会報告書):
・保護率は2011年度0.97%から2023年度0.53%へ。同じ期間に群馬県平均は0.66%から0.80%、全国は1.62%から1.63%
・受給世帯(月平均)は2011年度903世帯、2023年度478世帯
第三者委員会の主な認定(2025年3月28日):
・保護費の分割支給・一部不支給などの事案を違法と評価
・世帯数・保護率の減少は適正な運用の結果とは理解しにくく、母子世帯の捕捉の不十分さ、相談業務での申請権侵害が疑われる事情などの複合的な要因と考えるのが自然とした
その後:
・桐生市は2025年11月20日、利用者3人が起こした国家賠償訴訟で和解し、違法行為と不適切行為があったことを認めた(市の報道発表)
【背景】
・厚生労働省は、申請書の記載事項がすべてそろっていなくてもよく、事情があれば口頭申請も認められると自治体に周知している。扶養を保護の要件であるかのように説明すること、住居のない人に無料低額宿泊所への入所に同意しなければ申請できないと説明することもしないよう求めている(2026年3月)。
【注意】
・「水際作戦」は法律や通知の用語ではなく、報道や支援団体が使う呼び方。
・桐生市の事例は一つの自治体の調査結果で、全国の状況を示すものではない。
【出典】
・令和7年度 社会・援護局関係主管課長会議資料(資料4)保護課自立推進・指導監査室(厚生労働省・2026年3月17日)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001671242.pdf
・令和7年度 社会・援護局関係主管課長会議資料(資料3)保護課/保護事業室(厚生労働省・2026年3月17日)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001671241.pdf
・桐生市生活保護業務の適正化に関する第三者委員会 報告書(2025年3月28日)https://www.city.kiryu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/023/560/houkokusyo.pdf
・生活保護費分割手渡一部不支給国賠事件の和解について(桐生市・2025年11月20日)https://www.city.kiryu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/870/071120hukushi.pdf
【動画】
・群馬県桐生市 生活保護費問題 第三者委員会が報告書を提出(25/03/28)(群馬テレビ・ぐんテレ)https://www.youtube.com/watch?v=yN9siL4eBJY
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