No.34新着 最高裁判決後の国の対応:▲2.49%で再改定し差額を追加給付、原告には特別給付金(2025年11月〜)
厚労省は2025年11月、2013年当時の水準を▲2.49%で設定し直し、▲4.78%との差額を当時の受給者に追加給付すると決めた(補正予算1,475億円)。原告にはさらに特別給付金を出す。原告側は全額補償を求めて審査請求を進めている。
本文と出典
【要点】
・厚生労働省は2025年11月21日、専門委員会の報告書などを踏まえ、2013年当時の生活扶助の水準を▲2.49%の「高さ調整」で設定し直し、違法とされた▲4.78%との差額を、原告かどうかを区別せずに追加給付する方針を公表した。
・原告には、争いを一度で解決する要請から、▲2.49%分も「特別給付金」(予算措置)として上乗せする。
・2026年2月20日に特例の告示が公布され、3月1日から適用。7月末までに530,348世帯への給付が決まった。
【数字・中身】
・2025年度補正予算:1,475億円(保護費の追加給付1,055億円、自治体の事務費補助401億円、相談センター設置など17億円、原告への特別給付2億円)
・追加給付の目安:1世帯あたりおおむね10万円(▲0%まで支給すればおおむね20万円)
・追加給付率:+0.8%(2013年8月〜)、+1.6%(2014年4月〜)、+2.4%(2015年4月〜)
・給付額の例(2013年8月〜2026年3月に継続受給・1級地-1):60歳代単身10.5万円、30歳代夫婦と4歳の子20.4万円。3級地-2ではそれぞれ8.5万円、16.1万円
・給付決定:生活扶助費530,348世帯(2026年7月末までの累計)、特別給付金177人(2026年9月末までの累計)
・ゆがみ調整は判決で違法とされなかったため、追加給付の対象外
専門委員会のとりまとめ(2025年11月):
・2013年改定前の基準と2009年の消費実態には▲12.0%の差。リーマンショックの影響を補正すると、改定率は▲2.49%(2012年までの変動率で補正)、▲5.54%(2013年まで)などの試算
【論点】
・▲2.49%で再改定して差額を給付する立場(厚生労働省・2025年11月21日の方針):生活保護法8条2項(基準は最低限度の需要を満たすに十分で、かつこえないもの)と2条(無差別平等)を踏まえ、原告・原告以外を区別せず一律に実施するとした。厚労省は、判決で大臣の判断に過誤・欠落があったと指摘されたことを深く反省し、原告を含め国民に謝罪するとしている。
・全額の補償を求める立場(原告側):「いのちのとりでアクション」事務局長の小久保哲郎弁護士は、確定判決で生じた給付請求権の侵害、否定された理屈での再減額は紛争の一回的解決に反する、原告と原告以外で差を設けるのは平等原則に反する、▲2.49%に妥当性がない、と指摘した(弁護士JPニュース・2026年4月7日)。原告側は全国で1万件の審査請求を目標に、2026年4月から不服申し立てを進めている(同)。
・法学研究者の緊急声明(2025年12月8日・金沢大学名誉教授(社会保障法)ら2人が呼びかけ、大学教員約120人が賛同と報道):判決後の再減額は三権分立の原則に反するとした(弁護士JPニュース・2025年12月10日)。
【注意】
・報道では「約300万人・約2,000億円」という数字も使われるが、ここでは厚生労働省の補正予算の内訳を書いた。
・追加給付の申出には期限や手続きがある。詳しくは厚生労働省や自治体の案内を確かめる必要がある。
【出典】
・平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決への対応について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68902.html
・最高裁判決を踏まえた保護費等の追加給付について(厚生労働省・令和7年度補正予算)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001650369.pdf
・追加給付額の例・対象期間(厚生労働省・2026年2月)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001662197.pdf
・最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付等に係る給付決定状況について(厚生労働省・2026年9月末時点)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001753611.pdf
・専門委員会とりまとめのポイント(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001646025.pdf
・生活保護“減額”最高裁で敗訴も…追加給付額を「値切る」厚労省 原告ら再提訴に向け1万件の「審査請求」開始(弁護士JPニュース・2026年4月7日)https://www.ben54.jp/news/3377
・生活保護基準引き下げ、最高裁で「違法」確定も…厚労省が“独自基準”で再減額 法学者120人「法治国家の破壊」指摘(弁護士JPニュース・2025年12月10日)https://www.ben54.jp/news/2974
【動画】
・最高裁「違法」判決受け厚労省専門委が生活保護2.5%引き下げ案了承 原告には全額支給案も併記(テレ東BIZ ダイジェスト)https://www.youtube.com/watch?v=9_m7GT3gNoQ
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