No.33新着 2025年6月27日の最高裁判決:2013年の生活扶助基準引き下げ(デフレ調整)は違法
最高裁第三小法廷は2025年6月27日、2013年からの基準引き下げのうち物価だけを指標にした「デフレ調整」は厚労大臣の裁量の逸脱・濫用で生活保護法に違反するとして、減額処分を取り消した。国への賠償請求は退けた。
本文と出典
【要点】
・最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は2025年6月27日、大阪と愛知の受給者らが起こした訴訟で、2013年からの生活扶助基準の改定は違法だとして、自治体の保護変更決定(減額)を取り消した(令和5年(行ヒ)第397号・第398号、令和6年(行ヒ)第170号)。
・理由は、物価変動率だけを直接の指標にした「デフレ調整」について、基準部会の審議を経ていないなど専門的知見との整合性を欠き、大臣の判断の過程と手続に「過誤、欠落」があったこと。生活保護法3条・8条2項に違反するとした。
・一方、ゆがみ調整(2分の1処理)は違法ではないとし、国への損害賠償請求は退けた。
【数字・中身】
判決の主な判断(厚生労働省「最高裁判決の概要」より):
・大臣は基準改定に専門技術的・政策的な裁量を持つが、裁判所は判断の過程と手続に過誤・欠落がないかを、統計との合理的な関連や専門的知見との整合性から審査する
・2008〜2012年度に水準均衡方式による改定がなかったことから、基準と一般国民の生活水準に不均衡があると大臣が判断したこと自体は不合理とはいえない
・しかし、物価変動率は消費実態を把握する指標として限界があり、それだけで改定することに専門的知見に基づく十分な説明がない
・ゆがみ調整(2分の1処理)は、統計との合理的関連や専門的知見との整合性を欠くとはいえない
・国家賠償:大臣が通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と判断したとまではいえないとして棄却
判決前の状況(厚生労働省資料):
・集団訴訟の判決は、行政側の敗訴が高裁5・地裁11、勝訴が高裁7・地裁19。原告は計約660人
【論点】
・デフレ調整を違法とする立場(多数意見):上記のとおり、物価だけを直接の指標に下げたことは専門的知見との整合性を欠き違法とした。
・さらに広く違法とする立場(宇賀克也裁判官の反対意見):デフレ調整が違法という結論に賛成したうえで、ゆがみ調整の2分の1処理も違法で、国家賠償法上も違法があったとした。
・判断の違いの説明(林道晴裁判官の補足意見):デフレ調整は改定の根幹に関わり専門的知見との整合性に疑問がある一方、2分の1処理については同じようにはいえないとした。
【注意】
・判決は2013年改定のうちデフレ調整部分を違法としたもので、生活保護基準の引き下げ一般を禁じたものではない。
・判決後の国の対応(追加給付)は別の記事を参照。
【出典】
・最高裁判所判決(大阪・令和5年(行ヒ)第397号、第398号・2025年6月27日 第三小法廷)(厚生労働省掲載)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001648864.pdf
・最高裁判所判決(名古屋・令和6年(行ヒ)第170号・2025年6月27日 第三小法廷)(厚生労働省掲載)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001648865.pdf
・訴訟の概況及び最高裁判決の概要(厚生労働省・2026年2月掲載)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001648870.pdf
【動画】
・【速報】生活保護費引き下げは「違法」最高裁が統一判断(2025年6月27日)(ANNnewsCH)https://www.youtube.com/watch?v=COVLUaZGhrU
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