No.21新着 1954年の厚生省社会局長通知(外国人への生活保護の準用)の中身と位置づけ
外国人への生活保護は、1954年5月8日の厚生省社会局長通知(社発第382号)に基づく行政措置として「当分の間」行われている。政府は2025年6月の答弁書で、この通知を見直す状況にはないとした。
本文と出典
【要点】
・生活保護法は日本国民を対象としており、外国人への保護は法律上の権利ではなく、1954年(昭和29年)5月8日の厚生省社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(社発第382号)に基づく行政措置として行われている。
・通知は「当分の間」、生活保護の取扱いに準じて保護を行うとしている。政府は「当分の間」について、特定の期間を想定していないと答弁している(2025年6月13日)。
・政府は、この通知は地方自治法上の「技術的な助言」で自治体に法的義務を課すものではないが、通知に沿った取扱いをしてほしいとしている(2011年12月16日・2022年11月の答弁書)。
【数字・中身】
政府の答弁書で示された通知の内容と扱い:
・外国人は生活保護法の適用対象ではないが、当分の間、生活に困窮する外国人には一般国民の取扱いに準じて保護を行う(2025年6月の質問主意書と答弁書)
・保護の開始の手続きでは、報告を受けた都道府県知事が、本人がその国の代表部・領事館(やその斡旋による団体など)から必要な保護を受けられないことを確認し、結果を保護の実施機関に知らせる(2022年11月4日受領の参議院答弁書)
・通知の法的な位置づけ:地方自治法第245条の4第1項の「技術的な助言」として有効(2011年12月16日の衆議院答弁書)
・自治体への義務:法的な義務は課さないが、厚生労働省としては、人道上の観点から一定の外国人に保護に準じた保護を行うという通知の趣旨に沿った取扱いを求める(同)
・「当分の間」:具体的に特定の期間を想定していない。生活に困窮する外国人が一定程度いる現状から、通知を見直す状況にない(2022年・2025年の答弁書)
【背景】
・厚生労働省は、憲法25条が「すべて国民は」と定めていることから生活保護法も日本国民のみを対象としているとしたうえで、適法に滞在し活動に制限のない永住・定住などの外国人には、人道上の観点から行政措置として保護を行っていると説明している(2026年4月の資料)。
・日本経済新聞(2014年7月18日)は、旧厚生省が1990年に対象を永住外国人に限定したと報じている(厚生労働省の現在の資料では、対象は永住者・定住者など。在留資格の記事を参照)。
【注意】
・通知の原文は、この記事では答弁書などに引用された部分で確かめた。全文は今回開けていない。
・対象となる在留資格は別の記事(在留資格による扱いの違い)を参照。
【出典】
・衆議院議員竹上裕子君提出外国人に対する生活保護廃止に関する質問に対する答弁書(内閣衆質217第218号・2025年6月13日)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b217218.htm
・参議院議員神谷宗幣君提出 外国人の生活保護受給に係る最高裁判決を踏まえ旧厚生省通達を見直す必要性に関する質問に対する答弁書(第210回国会・2022年11月4日受領)https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/touh/t210023.htm
・衆議院議員佐藤ゆうこ君提出生活保護制度における外国人の取扱いに関する質問に対する答弁書(内閣衆質179第102号・2011年12月16日)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b179102.htm
・生活保護における外国人の取扱いについて(厚生労働省社会・援護局・2026年4月掲載)https://www.mhlw.go.jp/content/001684937.pdf
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