No.125新着 母子加算・児童養育加算の額(2026年10月)と2018年10月からの見直し:母子加算は子1人で月2万2,790円→1万8,400円、児童養育加算は高校生まで拡大
2018年10月からの見直しで、母子加算は子1人・1級地で月2万2,790円から1万8,400円に下がり、児童養育加算は高校生まで一律1万円に広がった。2026年10月は母子加算1万8,800円、児童養育加算1万190円。
本文と出典
【要点】
・母子加算は、ひとり親(母子世帯・父子世帯など)の受給世帯に上乗せされる額。児童養育加算は、18歳になった後の最初の3月31日までの子ども1人ごとに上乗せされる額。
・2017年の基準部会の検証を受けて、2018年10月から3回に分けて見直された。母子加算は子1人・1級地で月2万2,790円が1万8,400円に下がった。児童養育加算は「中学生まで」から「高校生まで」に広がり、1人一律1万円になった。
・生活扶助本体と両加算を合わせた減額は、見直し前から5%以内にとどめた。
・2026年10月の額は、母子加算が子1人で1万8,800円(1級地)、児童養育加算が1人1万190円。基準部会は2026年10月6日に両加算の次の検証方法を議論している。
【数字・中身】
いまの額(月額・在宅。厚生労働省「生活扶助基準額の算出方法」令和8年10月、基準部会資料の「令和8年4月時点」も同じ額)
・母子加算:児童1人 1級地1万8,800円・2級地1万7,400円・3級地1万6,100円。児童2人 2万3,600円・2万1,800円・2万200円。3人目から1人につき2,900円・2,700円・2,500円を加える
・児童養育加算:児童1人につき1万190円
・一定の要件にあてはまる母子世帯や子どもを育てる世帯には、別に「経過的加算」がある。障害者加算と母子加算は原則としていっしょには受けられない
2018年10月の見直し(厚生労働省「平成30年度以降の生活保護基準見直しの概要」2022年2月22日)
・母子加算(見直し前→見直し後)
・子1人:1級地2万2,790円→1万8,400円、2級地2万1,200円→1万7,000円、3級地1万9,620円→1万5,800円
・子2人:1級地2万4,590円→2万3,100円、2級地2万2,890円→2万1,300円、3級地2万1,200円→1万9,800円
・子3人:1級地2万5,510円→2万5,900円、2級地2万3,740円→2万3,900円、3級地2万1,980円→2万2,200円
・児童養育加算:見直し前は児童手当と同じ額(第1子・第2子は3歳未満1万5,000円、3歳から中学生まで1万円など)。見直し後は高校生までの子ども1人につき一律1万円。3歳未満などの見直しは段階的に行った
・あわせて、学習参考書などの費用を児童養育加算で見ることにし、クラブ活動費は教育扶助の実費支給に切り替えた
・生活扶助本体と両加算の合計の減額は5%以内にとどめ、2018年10月・2019年10月・2020年10月の3回に分けた
モデル世帯で見た変化(同じ資料・生活扶助本体+児童養育加算+母子加算の月額)
・母子世帯(30代の親と小学生)1級地-1:14.7万円→14.9万円(+0.9%)、3級地-2:12.2万円→13.1万円(+7.0%)
・母子世帯(40代の親と高校生・中学生)1級地-1:19.7万円→19.9万円(+0.7%)
・夫婦と子1人(3〜5歳)1級地-1:15.8万円→15.5万円(-2.3%)
・母子世帯では母子加算が減っても、生活扶助本体が上がったため、合計は増える例がある
【背景】
・厚生労働省の説明では、母子加算は、ひとり親世帯がふたり親世帯と同じくらいの生活水準を送るのに必要な費用を計算し、そのうち生活扶助本体で足りない分(ひとり親世帯の「かかり増し経費」)として額を決め直した。
・児童養育加算は、学校外の活動費について、中くらいの所得の世帯と低い所得の世帯(下から1割)の平均の差を「子どもの健全育成のための経費」とみて額を決め直した。
・2019年10月以降は消費税率引き上げなどに合わせた改定も入ったため、いまの額は2018年の「見直し後」の額と違う。
【論点】
・引き下げに反対する立場(労働者福祉中央協議会・2017年12月20日の声明):当初の最大13.7%減の案を最大5%に縮めても大きな削減で、子どもがいる世帯が狙い撃ちされている。母子加算や児童養育加算の引き下げは子どもの貧困対策や教育無償化と逆行する、とした。下から1割の所得層の消費に合わせるやり方は、基準を際限なく下げる「貧困のスパイラル」を招くとも主張した。
・同じく反対する立場(自由法曹団・2017年12月27日の声明):母子加算の減額幅は平均2割とされ、厚生労働省は約7割の世帯で減額になると発表している。生活保護を使う子育て世帯ではすでに社会的に必要な物が足りていない、として撤回を求めた。
・見直しを進めた側(厚生労働省の説明・2022年2月22日の基準部会資料):一般の低所得世帯の消費との差(ゆがみ)を直す見直しで、全体の水準は据え置いた。基準部会の「世帯への影響に十分配慮」との指摘を受けて、減額は5%以内・3回に分けて実施した。児童養育加算は高校生まで対象を広げた。
・次の検証での意見(第61回基準部会の主な意見・2026年10月6日の資料):委員からは、ひとり親であるがゆえにかかる費用をきちんとつかむべきで、特に母子世帯の負担に留意すべきという意見が出た。保護を受けていない低所得のひとり親世帯との公平をどう考えるかについては、母子加算のしくみは保ちつつ、受けていない世帯には子どもの貧困対策の一般の施策で対応するのがよいという意見があった。父子世帯にも出ているので「ひとり親加算」と名前を変えてはどうかという意見もあった。
【注意】
・2018年の表の額は「見直し後」の予定額で、5%以内の減額にとどめる調整(経過的加算)を入れる前の額。実際の支給額は世帯ごとに違う。
・級地は住んでいる市町村で決まる(1級地は大都市部)。2026年10月の母子加算の額は1級地・2級地・3級地の3区分。
・「平均2割」「約7割の世帯で減額」は声明が厚生労働省の発表として書いている数字で、この記事では厚生労働省の元の発表文は確かめていない。
・生活扶助本体の額や世帯ごとの例は別の記事(「生活扶助の基準額と世帯別の例」)を参照。
【出典】
・生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年10月)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/001152601.pdf
・児童養育加算・母子加算・冬季加算・期末一時扶助の検証方法について(第62回社会保障審議会生活保護基準部会 資料2・厚生労働省・2026年10月6日)https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/001756313.pdf
・平成30年度以降の生活保護基準見直しの概要(第42回社会保障審議会生活保護基準部会 参考資料2・厚生労働省・2022年2月22日)https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000900196.pdf
・生活保護基準の引下げの撤回を求める!(声明)(労働者福祉中央協議会・2017年12月20日)https://www.rofuku.net/CMS24/wp-content/uploads/2018/01/8e59765bea9f544da85618a242b4a3f8.pdf
・生活保護の生活扶助、母子加算の引き下げに断固反対する声明(自由法曹団・2017年12月27日)https://www.jlaf.jp/old/menu/pdf/2017/171227_01.pdf
【動画】
・生活保護減額の案とりまとめ 厚労専門家会議(17/12/14)(ANNnewsCH)https://www.youtube.com/watch?v=FU4PaXHekrs
関連動画
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