No.109新着 生活保護をためらう理由の調査:「家族に知られるのが嫌」34.4%(2021年・支援団体)、受給者の60.7%が「後ろめたいが仕方ない」(2025年・民間)
支援団体の2020〜21年年末年始の調査では、生活保護を利用していない128人の34.4%が「家族に知られるのが嫌」と回答。2025年5月の民間調査では受給者552人の60.7%が「後ろめたいが仕方ない」と答えた。
本文と出典
【要点】
・生活保護を受けられそうなのに使わない理由として、支援団体の調査では「親族に知られる(扶養照会)」がいちばん多く挙がった。
・つくろい東京ファンド(生活困窮者の支援団体)が2020年12月31日〜2021年1月3日の相談会で行ったアンケート(回答165人)では、利用していない128人の34.4%が「家族に知られるのが嫌」と答えた。
・受給している人の側でも、2025年5月の民間の調査(受給者552人)で「後ろめたいが仕方ない」が60.7%、「当然の権利」は21.4%だった。
・どちらも対象が限られた調査で、全国の困窮者や受給者を代表する数字ではない。全国を代表する公的な「ためらいの理由」の調査は、このサイトでは見つけられなかった。
【数字・中身】
・つくろい東京ファンドのアンケート(2020年12月31日〜2021年1月3日・生活困窮者向けの相談会・回答165人。BuzzFeed News 2021年2月8日の報道による)
・生活保護を利用していない128人のうち34.4%が「家族に知られるのが嫌」
・生活保護を利用したことがある59人のうち54.2%が、受給を家族に知られることに「抵抗感があった」
・同じ団体の小林美穂子氏の解説(imidas・2022年2月3日)では、2020〜2021年の年末年始の現場で見えた障壁を多い順に、①親族に知られる(扶養照会)のが嫌、②集団生活の施設に送られるのが嫌(住所が定まらない人)、③福祉事務所の対応がひどすぎる(過去に利用した人)と整理している(割合の記載は無い)
・アーラリンク(生活困窮者向けの格安スマホ事業者)の受給者意識調査(2025年5月・同社サービスの利用者で生活保護を受けている552人。nippon.com 2025年6月18日の記事による)
・受給することへの気持ち:「後ろめたいが仕方ない」60.7%、「当然の権利」21.4%、「恥ずかしい」12.1%
・受給していることを友人に話している41.5%、家族に話している41.5%、誰にも話していない26.4%
・自由回答では「不正受給をする人のせいで肩身が狭い」という声が目立ったとされる
【背景】
・生活保護法は親族の扶養を保護より「優先」すると定め、福祉事務所は申請者の親族に援助できるかを問い合わせる(扶養照会)。支援団体はこの照会が申請をためらわせると訴え、つくろい東京ファンドは上の結果をもとに2021年2月8日に厚生労働省へ見直しを申し入れた(BuzzFeed News)。
・厚生労働省は2021年2月26日の通知・事務連絡で扶養照会の運用を見直した(「扶養照会の運用見直し」の記事を参照)。
【注意】
・2つの調査は「炊き出し・相談会に来た人」「特定の会社のスマホ利用者」に限られ、無作為に選んだ全国調査ではない。割合をそのまま全国に当てはめることはできない。
・つくろい東京ファンドの調査の「利用していない128人」と「利用したことがある59人」は合計が回答数165人を超える。いまは利用していないが過去に利用したことがある人が両方に入っていると考えられる(報道からは内訳を確かめられなかった)。
・アーラリンクの調査は事業者の自社調査で、設問の全文は記事からは確かめられなかった。
・扶養照会の運用は2021年に変わっており、2020〜21年の調査はその前の時点のもの。
【出典】
・生活保護受給者の6割が「後ろめたさ」―アーラリンク調査(nippon.com・2025年6月18日)https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02446/
・生活保護の扶養照会をめぐる報道(BuzzFeed News・千葉雄登・2021年2月8日)https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/covid-19-safety-net
・小林美穂子「生活保護」をめぐる解説(imidas・2022年2月3日)https://imidas.jp/jijikaitai/f-40-227-22-02-g835
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