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No.105新着 自治体の負担1/4と地方交付税:基準財政需要額への算入のしくみ(2026年度)と、「足りない」とする大阪市・研究者の分析

生活保護費の自治体負担1/4は、地方交付税の基準財政需要額に算入されるしくみ。2026年度の単位費用は市町村で市部人口1人9,760円。大阪市は実態が十分反映されないとして全額算入を求め、研究では算入が不足の年も過大の年もあった。

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資料の日付
2026年9月18日
分野
将来推計・財政
立場
賛否のある論点
タグ
財政負担数字で見る
地域
日本
資料の種類
公的資料
テーマ
地方交付税・自治体の負担

本文と出典

【要点】 ・生活保護費は国が3/4を負担し、残る1/4(と福祉事務所の人件費など)は自治体の負担になる。この自治体負担は、地方交付税の「基準財政需要額」(標準的な行政に必要とみなす額)に算入されるしくみになっている。 ・2026年度の地方交付税法では、生活保護費の単位費用は、市町村が「市部人口」1人につき9,760円、道府県が「町村部人口」1人につき9,700円。これに受給者の多さなどを反映する補正をかける。 ・大阪市は、交付税は標準的な需要を算定するもので地域の実態が十分反映されないとして、国に全額の負担や算入を求めてきた(2012年ごろの資料・2026年9月の資料)。 ・中核市を調べた研究(橋本和明・2014年)では、算入額は2006年度に実際の負担より64億円余り足りなかったが、2011年度には逆に26億円余り多かった。ただし自治体ごとの過不足の差は残っていた。 【数字・中身】 算定のしくみ: ・基準財政需要額 = 単位費用 × 測定単位 × 補正係数(林正義の資料・橋本和明の論文による) ・生活保護費の測定単位と単位費用(地方交付税法 別表第一・2026年度):道府県は町村部人口1人につき9,700円、市町村は市部人口1人につき9,760円。町村部の生活保護は都道府県が行うため、道府県は町村部の人口で算定する ・かける補正(同法):道府県は密度補正と寒冷補正、市町村は段階補正・密度補正・態容補正・寒冷補正 ・密度補正は、人口に対する受給者の数の多さを反映するもので、標準的な団体の受給者数との差に1人あたりの単価をかけて加える(橋本和明・2014年の論文の説明) ・参考:市の単位費用は2011年度に6,447円だった(同論文) ・福祉事務所のケースワーカーの人件費も交付税で措置され、算定上の標準団体(市は市部人口10万人)で18人、道府県(町村部人口20万人)で26人(2026年度見込み・厚生労働省 主管課長会議資料) 保護率の高い自治体の財政: ・大阪市の2024年度一般会計決算では、生活保護費は2,664億円で、扶助費の38%。一般会計の歳出2兆656億円の約12.9%にあたる(割合はこのサイトでの計算) ・大阪市の試算(2010年度)では、生活保護費(扶助費)の交付税の算入は実際の負担の75.2%で、178億円足りない。全指定都市では405億円足りないとした ・研究者の資料(林正義・東京大学)では、2010年度に歳出に占める生活保護費の割合が10%以上の市・特別区があり、最も高い東京都台東区は23.9% 【背景】 ・保護費の負担割合は、2006年以降も国3/4・自治体1/4(林正義の資料。2005年の見直し論議は別の記事を参照)。 ・林正義の資料は、生活保護の国庫負担金が減ればその分だけ基準財政需要額が増えるしくみになっていると説明している。交付税が財源保障として働けば平均的な影響は小さいが、働かない場合は都市部の負担が大きくなるとしている。 ・大阪市は、大阪都構想(特別区)の財政調整の制度案でも、生活保護費など義務的な扶助費は各特別区の実績に応じて算入する案を出している(2026年9月18日の協議会資料)。 【論点】 ・交付税で必要な財源は措置されているとする立場(国・制度の建て付け):地方交付税法は生活保護費を基準財政需要額の項目とし、受給者の多さを密度補正で反映している。厚生労働省は、ケースワーカーなどの人件費も従来から交付税で措置していると説明している(主管課長会議資料・2026年3月)。研究でも、中核市全体では2011年度に算入が実際より26億円余り多かった(橋本・2014年)。 ・実態が十分反映されず足りないとする立場(大阪市など):大阪市は、生活保護は自治体に裁量の余地がなく国の責任で行うべきで、経費は全額国が負担すべきだとし、交付税は標準的な需要の算定なので生活保護のような経費になじまないとした(2012年ごろの資料)。2026年9月の資料でも、生活保護費などについて国に「財政需要の適切な算入や全額算入」を求めているとしている。 ・算定の方法に問題があるとする研究(橋本和明・2014年):過不足は扶助ごとの算定単価と実際の単価のずれで生じ、自治体の間の差は解消されていない。裁量の余地が少ない経費は、できるだけ過不足が出ないように算定すべきだとしている。 【注意】 ・地方交付税は使い道を決めない一般財源で、「生活保護費の分」として別に交付されるわけではない。算入額と実際の支出の差は、算定の方法や試算する人によって変わる。 ・大阪市の75.2%・178億円は2010年度の市の試算で、現在の数字ではない。中核市の過不足(2006〜2011年度)も研究者による試算。 ・基準財政収入額が需要額より多い団体(不交付団体)には普通交付税が交付されない(林正義の資料)。こうした団体では、生活保護費の自治体負担も自前の税収でまかなうことになると考えられる。 ・林正義の資料は公表日が資料に書かれていない(2010年度のデータを使っている)。 【出典】 ・地方交付税法(昭和25年法律第211号)別表第一(e-Gov法令検索・令和8年法律第3号による改正後・2026年10月11日確認)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000211 ・第9回副首都・大阪にふさわしい大都市制度協議会 資料1「財政調整」(大阪府・大阪市 副首都推進局・2026年9月18日)https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/cmsfiles/contents/0000687/687696/01_siryo1.pdf ・大都市の税財政における現状と課題「急増する生活保護」(大阪市財政局・2012年ごろ)https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000182/182825/1-2-5.pdf ・生活保護費及び児童扶養手当における地方交付税の算入不足とその要因について(橋本和明・京都産業大学経済学レビュー No.1・2014年3月)https://ksu.repo.nii.ac.jp/record/2345/files/KSUER_1_105.pdf ・生活保護と財政移転制度(林正義・東京大学・公表日の記載なし)https://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/zaisei8-material02.pdf ・令和8年3月17日 社会・援護局関係主管課長会議資料(資料3 保護課/保護事業室)「第6 地方自治体の体制整備等について」(厚生労働省・2026年3月17日)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001671241.pdf

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