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No.99新着 朝日訴訟の最高裁大法廷判決(1967年5月24日):訴訟は原告の死亡で終了、傍論で保護基準は厚生大臣の裁量

最高裁大法廷は1967年5月24日、療養所の入所者が月600円の日用品費の基準を争った朝日訴訟を、原告の死亡で終了したと判断した。「念のため」の意見で、基準の設定は厚生大臣の裁量で、裁量の限界を超えた場合だけ違法になるとした。

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資料の日付
1967年5月24日
分野
判例・訴訟
立場
賛否のある論点
タグ
憲法25条基準額医療扶助
地域
日本
資料の種類
判例
テーマ
朝日訴訟・生存権

本文と出典

【要点】 ・最高裁判所大法廷は1967年(昭和42年)5月24日、いわゆる朝日訴訟(昭和39年(行ツ)第14号)で、訴訟は上告人(原告)の死亡によって終了したと判決した。 ・理由は、生活保護を受ける権利は法的な権利だが、本人だけのもので(一身専属)、相続できないから。相続人が裁判を引き継ぐことは認めなかった。 ・多数意見は「念のため」として、憲法25条1項は国の責務を宣言したもので、個々の国民に直接具体的な権利を与えたものではない、具体的な権利は生活保護法で初めて与えられる、と述べた。 ・何が健康で文化的な最低限度の生活かの判断は厚生大臣の裁量にゆだねられ、著しく低い基準を設けるなど裁量の限界を超えたり濫用したりした場合だけ違法になる、とした。 ・4人の裁判官が反対意見を書いた。 【数字・中身】 判決文(裁判所ウェブサイト)が認めた事実: ・原告は十数年前から療養所に入所していた単身の結核患者で、生活扶助(日用品費)として基準の最高額の月600円と、給食つきの医療扶助を受けていた ・実兄から月1,500円の仕送りを受けるようになると、福祉事務所長は月600円の生活扶助を打ち切り、仕送りから日用品費を引いた残り900円を医療費の一部として本人負担にした ・原告は、月600円の基準そのものが生活保護法に違反するとして、厚生大臣の裁決の取り消しを求めた ・この日用品費の基準は1953年(昭和28年)7月に設けられたもの 裁判の経過: ・一審 東京地方裁判所(1960年10月19日):原告の勝訴(コトバンク所収の日本大百科全書・小川政亮) ・二審 東京高等裁判所(1963年11月4日・昭和35年(ネ)第2511号):原告の敗訴 ・原告は1963年11月20日に上告し、1964年2月14日に亡くなった 最高裁の判断(多数意見): ・主文:訴訟は1964年2月14日の上告人の死亡で終了した ・保護を受ける権利は「国の恩恵」や反射的な利益ではなく法的な権利だが、譲り渡したり相続したりできない ・「念のため」の意見で、基準の設定にあたり、国の財政状態や一般国民の生活水準、保護を受けていない貧しい人とのつり合いなどを考えることも大臣の裁量の範囲内とし、月600円の基準を違法とまではいえないとした 【背景】 ・この訴訟は、当時の保護基準の低さを争ったもので、「人間裁判」と呼ばれる運動になった(日本大百科全書・小川政亮、世界大百科事典・佐藤進)。 ・最高裁は本題(基準が違法かどうか)を判断する前に、原告の死亡で訴訟が終わったとした。基準についての部分は判決の結論に直接かかわらない「傍論」とされる(同上)。 ・のちの老齢加算廃止の最高裁判決(2012年)も、保護基準の決定に厚生労働大臣の専門技術的・政策的な裁量を認めている(関連記事を参照)。 【論点】 ・判決の多数意見の立場(最高裁大法廷・1967年):保護を受ける権利は本人だけのもので相続できず、訴訟は終わる。最低限度の生活は抽象的・相対的な考え方で、その内容の判断はまず厚生大臣にまかされ、裁量の限界を超えない限り「当不当」の問題にとどまり違法にはならない。 ・訴訟は続けるべきだったとする立場(同判決の田中二郎裁判官ほか3人の反対意見):田中裁判官は、行政訴訟の入口の要件はできるだけゆるやかに解し、いわゆる門前払いは避けて中身を判断すべきだとし、訴訟の承継は理論上認められると述べた。反対意見を書いたのは草鹿浅之介・田中二郎・松田二郎・岩田誠の4裁判官。 ・保護を受ける権利のとらえ方が違うとする意見(同判決の奥野健一裁判官の補足意見):結論(訴訟終了)には賛成しつつ、保護を受ける権利は、大臣が決めた基準による保護ではなく「適正な保護基準」による保護を受ける権利であり、大臣の基準の判断を誤れば違法になりうるとした。 ・判決への批判(世界大百科事典・佐藤進執筆):最高裁は憲法25条をいわゆるプログラム規定(国の努力目標)と判断し、生存権の権利性を後退させる考え方を示したと評されている。 【注意】 ・判決文は「プログラム規定」という言葉を使っていない。そう呼ぶのは学説や事典の整理である。また多数意見も、裁量の限界を超えた基準は司法審査の対象になると述べている。 ・基準についての判断は傍論で、判決の結論(訴訟終了)とは別である。 ・月600円は1956年当時の入院・入所患者の日用品費の基準で、いまの基準額とは比べられない。 ・判決文では原告の名前は伏せられている。 【出典】 ・最高裁判所大法廷 昭和42年5月24日判決(昭和39(行ツ)14、民集21巻5号1043頁)裁判例情報(裁判所ウェブサイト)https://www.courts.go.jp/hanrei/54970/detail2/index.html ・同 判決全文(裁判所ウェブサイト)https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-54970.pdf ・「朝日訴訟」日本大百科全書(小川政亮)・世界大百科事典(佐藤進)ほか(コトバンク)https://kotobank.jp/word/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E8%A8%B4%E8%A8%9F-25086

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