No.93新着 外国人への生活保護の「対象の見直しも含め検討」(政府の総合的対応策・2026年1月)と、反対する支援団体の声明
政府は2026年1月23日の総合的対応策で、2027年6月から福祉事務所がマイナンバーで外国人受給者の在留資格を把握できるよう調整し、行政措置の対象の見直しも含めて検討するとした。生活保護問題対策全国会議は1月29日、根拠のない厳格化だとして反対の声明を出した。
本文と出典
【要点】
・政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」は2026年1月23日、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決めた。その中に「生活保護制度の運用の適正化」の項目がある。
・対応策は、今は受給者の在留資格別の人数を把握できないとし、2027年6月から福祉事務所がマイナンバーによる情報連携で国籍・在留資格を取れるよう関係省庁と調整中とした。
・今後の課題として、行政措置の対象となる者の見直しも含め、外国人による制度の適正な利用に向けた措置を検討するとした。
・上野賢一郎厚生労働大臣は2026年2月3日の記者会見で、対象の縮小は念頭に置く必要があるが、まずは実態の把握に力を注ぐと述べた(報道)。
・生活保護問題対策全国会議は2026年1月29日、根拠なく外国人の生活保護の利用を厳しくする方針だとして反対する緊急声明を出した。
【数字・中身】
対応策の「生活保護制度の運用の適正化」(2026年1月23日):
・現状:生活保護法は日本国民を対象とし、外国人の生存権の保障は第一にその人の国が負うという考え方。そのうえで、生活に困っている外国人には、人道上の観点から「永住者」など一定の在留資格がある場合に、行政措置として保護を行っている
・実施中:2025年9・10月の「生活保護担当指導職員ブロック会議」で取扱いの留意点を周知した
・今後:生活保護システムの標準仕様書の改定、被保護者調査への項目追加などで在留資格の把握に努める。生活保護行政と出入国在留管理行政が連携し、保護の補足性の原理(資産や能力などを活用してもなお困るときに保護する原則)との関係も考えながら、対象の見直しも含めて必要な措置を検討する
厚生労働省の資料の数字(被保護者調査ほか・各年度の月平均):
・世帯主が外国籍の受給世帯の人員:2015年度7万2,995人 → 2024年度6万4,993人
・在留外国人の総数に対する割合:2015年度3.27% → 2024年度1.72%
【背景】
・外国人への保護は、1954年の厚生省社会局長通知に基づく行政措置で、生活保護法そのものの対象ではない(厚生労働省の資料)。
・対象は、永住者・定住者・永住者の配偶者等・日本人の配偶者等の在留資格がある人、特別永住者、認定された難民など(厚生労働省の資料)。
【論点】
・実態を把握し、対象の見直しも含めて検討すべきとする立場(政府・2026年1月23日の総合的対応策、上野厚生労働大臣・2026年2月3日会見):在留資格別の受給状況を国が把握できていないことを課題とし、マイナンバーによる情報連携などで把握したうえで、対象の見直しも含めて適正な利用に向けた措置を検討するとしている。
・厳格化に反対する立場(生活保護問題対策全国会議・2026年1月29日緊急声明):ネット上の投稿を根拠に政策を作るのは、根拠に基づく政策立案(EBPM)に反するとした。外国人の利用はすでに法律上の権利ではない行政措置で、対象も活動に制限のない在留資格の人と認定難民に限られており、受給者全体に占める外国人の割合は3%弱で、これ以上厳しくする根拠はないとした。声明は、外国人の割合が米国7.1%、フランス12.4%、英国19.6%、ドイツ37.8%、スウェーデン59.4%だとする数字も挙げている。
【注意】
・対応策は「検討する」としたもので、対象をどう見直すかの具体的な中身は示されていない。
・在留外国人の総数には、生活保護の対象にならない在留資格の人も含まれる。世帯主が外国籍の世帯の人員には、日本人の家族が含まれることがある(厚生労働省の資料の注)。
・声明に挙げられた各国の割合は声明の数字で、定義や年はこのサイトでは確かめていない。
・外国人への保護を法律に明記すべきとする具体的な法案や意見書は、今回確かめられなかった。
【出典】
・外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策(本文)(外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議 第2回 資料1-4・2026年1月23日)https://www.cas.go.jp/jp/seisakukaigi/gaikokujinzai/kakuryokaigi/dai2/shiryo1-4.pdf
・同 第2回 議事次第(内閣官房)https://www.cas.go.jp/jp/seisakukaigi/gaikokujinzai/kakuryokaigi/dai2/gijishidai.html
・総合的対応策(出入国在留管理庁)https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/nyuukokukanri01_00140.html
・生活保護における外国人の取扱いについて(厚生労働省社会・援護局)https://www.mhlw.go.jp/content/001684937.pdf
・外国人の生活保護の実態を把握へ 上野厚労大臣が明言(福祉新聞・2026年2月16日)https://fukushishimbun.com/series08/44462
・根拠なく外国人の生活保護利用を厳格化する政府方針に反対する緊急声明(生活保護問題対策全国会議・2026年1月29日)https://665257b062be733.lolipop.jp/260128seimei.pdf
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